「PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)ですね」── エコーと採血の結果を見ながらそう告げられたとき、いちばん最初に頭に浮かんだのは、「まさか、自分が」という言葉でした。
助産師として、たくさんの妊活中の方や妊婦さんに寄り添ってきた私。PCOSのことも”知識”としては知っていたはずでした。それでも、自分のこととなると話はまったく別。
このページは医学的な解説というより、助産師でありながら当事者にもなった私の「体験談」です。同じように診断されて不安になっているあなたの、少しでも心の支えになれたらと思って書いています。🐼
「まさか自分が」── エコーと採血で分かった、あの日
私のPCOSが分かったきっかけは、エコー(超音波)検査と採血でした。卵巣の様子をエコーで見て、ホルモンの値を血液検査で調べて。検査結果を前にして、頭では「ああ、これはPCOSだ」と分かるのに、心がまったくついていかない。
“知っている”ことと、”自分のこととして受け止める”ことは、こんなにも違うんだ ── あの日、私はそれを初めて知りました。患者さんがよく口にしていた「まさか自分が」という言葉の重みを、身をもって感じた瞬間でした。
振り返れば、身体は小さなサインを出していた
診断されてから振り返ると、思い当たることもありました。私の場合は、口周りにニキビができやすかったこと。「ちょっと肌が荒れやすいな」くらいに思っていたのですが、PCOSはホルモンバランスの影響で肌トラブルが出やすくなることがあります。
もちろん、ニキビがある=PCOS、というわけではありません。あくまで「私の場合は、あれもサインのひとつだったのかもしれない」という話です。身体は意外と、小さなサインを出してくれているのかもしれません。
助産師なのに当事者。辛い時期と、いま思うこと
正直に言うと、職場に行くのが辛い時期もありました。毎日たくさんの妊婦さんや赤ちゃんに囲まれる場所で、ふと自分のことを考えてしまう瞬間がなかったと言えば、嘘になります。
職場はこんなに幸せに包まれているのに私は妊娠できにくい身体なんだとトイレでこっそり泣いていたこともあります。
でも ── 今は少し違う気持ちもあるんです。これまで”支える側”として知ったつもりでいた世界を、私は今、身をもって体験している。患者さんの「不安」や「まさか自分が」という気持ちが、前よりずっとリアルに分かるようになりました。これは助産師として、確実に成長させてもらっている時間だと、今は思えています。
「知っている」と「分かる」は、違う。当事者になって初めて、本当の意味で寄り添えることがある。
私がやってみたこと(イノシトール)と、正直な手応え
PCOSと分かってから、私が試したことのひとつがイノシトールというサプリメントでした。PCOSの人が苦手な糖の代謝を調整してくれるというものです。PCOSのセルフケアとして見かけることが多く、私も取り入れてみたんです。
正直なところ、確実に効果があったのかどうかは、私自身まだはっきり分かりません。数ヶ月使用した後にやや卵胞の数が少なくなった印象はありました。でも、体質や状態は人それぞれで、”これを飲めば必ず良くなる”というものでもないです。だからこそ、ネットの情報をうのみにせず、まずは主治医に相談してほしい ── というのが、助産師としての本音です。
それでも、私が伝えたいこと
PCOSと診断されると、「もう妊娠できないのでは」と不安になる方がとても多いです。私自身もそうでした。
でも、PCOSは”妊娠できない病気”ではありません。適切な治療やサポートを受けながら妊娠していった方を、私はたくさん見てきました。だから私は、自分にこう言い聞かせています。
妊娠できないわけじゃない。だから、がんばろう。
同じように悩んでいるあなたへ。どうか、ひとりで抱え込まないでください。診断は終わりではなく、自分の身体を知って、これからの選択肢を増やすためのスタートです。私も一緒に歩んでいる仲間のひとりです。🐼
PCOSが気になったら
生理周期が乱れがち、ニキビや体重の変化が気になる、なかなか妊娠しない ── こうしたことが続くなら、一度婦人科で相談してみてください。産婦人科に受診するって最初は結構ハードルが高いかもしれません。でもあれ?って少しでも思った時に行動できた方が一人で悩む時間は短くなります。早めに知ることは、これからの選択肢を広げることにつながります。
※この記事は私個人の体験をもとにしたものです。症状の感じ方や経過には大きな個人差があります。診断・治療については必ず医療機関を受診してください。

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